実は、参院選の結果、いわゆる「改憲勢力」が3分の2以上の議席を維持したときには、一気に改憲論議が盛り上がるとみて、予めブックリスト「憲法改正は必要か」を用意していた。書店には、できる限り良質な出版物を選んで提供することが(営業的にも社会的にも)期待されるだろう。しかし、ギリギリとはいえ3分の2に届かず、このテーマの緊急性は一旦小さくなった。
とはいえ、総理大臣は強くその必要性を訴え続けている。すぐに政局化することがなくても、議論のための環境整備が進む可能性はある。むしろ、焦らず、それぞれの考えを深めるためにちょうどいい時間を得たのかもしれない。本を読むには、最適だ。
このリストでは、たくさんある憲法関連書の中から、専門外の読者が手にすることを想定しつつ、専門家からも一定の評価を得ている本をできる限り注意して選び、大きく3つの関心事にそって分けた。
「憲法改正と立憲主義」では、そもそも憲法とは何か、立憲主義とはどういう考え方か、あるいは政治における憲法の作用といった基礎的な事柄に関心のある読者に向けて、法律の専門家が一般読者向けに書いたものを中心に選書した。
・思想地図β vol.3 日本2.0(新日本国憲法ゲンロン草案)
・憲法は、政府に対する命令である。増補
・未完の憲法
・世界史の中の日本国憲法 立憲主義の史的展開を踏まえて
・憲法主義 条文には書かれていない本質
・「憲法改正」の真実
・憲法の涙
・立憲非立憲
・「憲法改正」の比較政治学
・ ナチスの「手口」と緊急事態条項
・憲法改正をよく考える
・右派はなぜ家族に介入したがるのか 憲法24条と9条
・憲法が変わるかもしれない社会
・「改憲」の論点
・立憲的改憲
・憲法問答
「日本の平和主義と憲法」では、改憲論議の主役であり続ける「9条」に関わる課題、軍事・安全保障政策と憲法の関係などについて、さまざまな立場があることを知る機会となるように各界の有識者による著書を選んだ。
・憲法九条を世界遺産に
・9条どうでしょう
・憲法九条の軍事戦略
・創価学会と平和主義
・平和憲法の深層
・新・自衛隊論
・明仁天皇と平和主義
・集団的自衛権はなぜ違憲なのか
・憲法9条とわれらが日本
・日本人のための平和論
・自衛隊と憲法
・9条入門
「子どもと読む日本国憲法」では、制定から70年を超えた現行憲法の意味を次世代に伝えるために役立つ本を集めた。子どものためだけでなく、大人にとっても読みやすい入門書となる。
・やさしいことばで日本国憲法
・井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法
・えほん日本国憲法
・日本のもと 憲法
・うさぎのヤスヒコ、憲法と出会う
・ドラえもん社会ワ-ルド 憲法って何だろう
・あなたこそたからもの けんぽうのえほん
・声に出して読みたい 小中学生にもわかる日本国憲法
・いまこそ知りたい!みんなでまなぶ日本国憲法 1 立憲主義 国民主権
・いまこそ知りたい!みんなでまなぶ日本国憲法 2 基本的人権
・いまこそ知りたい!みんなでまなぶ日本国憲法 3 平和主義
・増量 日本国憲法を口語訳してみたら
・10歳から読める・わかる いちばんやさしい日本国憲法
無論、このリストは、一例でしかない。また、今後の新刊も、気になる。リストは随時更新されるべきだろう。とりいそぎ新刊情報については、Twitterのハッシュタグ #憲法の本 にご注目を。
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野上由人
商品部長