子どものころ
ときどき息するのが
しんどくなることがありました
夜 ふとんで
すこし
息をとめると
ラクになる気がしたけれど
そんなにながく
とめられずに
また息をすると
のどや胸がいたくなりました
そのときふと
からだが つらいんだけど
つらいなあ
とおもってる
わたしは
からだのどこにいるんだろう
とふしぎな気持ちになりました
この絵本を
大人になって
読んで
そのときの自分
ふとんのうえで
息をなるべくながく
とめようとおもってる
わたし が
うかびました
そして
これは
おとなにも
はっきりつかみにくい
アイデンティティ
ということを
ちいさな子どもにも
わかるように
表現してるんじゃないかなあ
って
びっくりしました
いつか
娘と商店街を歩いていたら
すれちがいざまに
小学生ぐらいのおとこの子が
おとーさん
人はどうして
目が見えるの?
ときいているのを
耳にしました
娘と
どうして
そうきいたんだろうね
なんて答えるのが
正解かなあ
と話しました
なんでというのは
しくみのことか
もっと哲学的なことか
あるいは
文学的な答えもあるかもしれません
この絵本のおふたりなら…
とおもったりしました
谷川俊太郎さんと
長新太さんの
絵本で表現するとは
こういうこと
というような
ステキな一冊です
わたし
谷川俊太郎/長新太
福音館書店
山口 敦子
リブロ 新大阪店