何年か前に住んでいた家の近くに
小さなカフェがあり
そのお店のカウンターに 月に一度ぐらい
わたしの選んだ絵本を置いてもらう
という日々がありました
あるとき
荒井良二さんの
この絵本を前に
ミルクティーを飲みながら
店主さんからきいたお話です
お店に老夫婦が来られて
みていると
奥さまの方が少しいろんなことが
不自由な様子だったそうです
その奥さまが
この絵本を熱心にみられたあと
わたし この本大好き
これ買って帰りたい
と言われて
店主さんは
これは売り物ではないことを説明し
お連れ合いが
奥さまにそのことをつげると
あら これ買って帰れないの
と よくのみこめない
というふうで
店主さんは
書店に行けばきっと買えるとおもいます
と言ったら
お連れ合いが
本屋に探しに行こうね
と奥さまに言われて
帰られたそうです
それをきかせてもらいながら
たぶん日常生活にいろいろ困難なことがあり
ご夫婦で それをひとつひとつうけとる日々ではないかしら…
そんな奥さまに
大好き
と言ってもらい
ステキな時間を与えることができる
絵本のチカラを改めて
おもった出来事でした
わたし自身も
こころが よれっとなっているときなどに
この絵本のページをめくると
涙がでてきて
そして なんだかホッとします
たくさんの荒井良二さんの絵本のなかでも
スキな一冊です
あさになったのでまどをあけますよ
荒井良二
偕成社
本体1,300円
山口 敦子
リブロ 新大阪店