ずいぶんとまえ
上田真而子さんの講演会に参加したとき
ドイツ語の
フィンデン
という言葉について
話されていました
物語を読む
ということは
物語の世界に遊んで
かえってきたときに
いま目の前の現実を
フィンデン
みつける 発見する
つまり
大きな視点で
とらえなおす
みたいなことだった記憶があります
この本の後書きに
上田真而子さんは
これまでに、ドイツ語の児童書を
かなりの冊数訳してきましたが、
その中で、わたし自身いちばん好きなのが、
この『熊とにんげん』です。
と書かれています
物語にそえてある
ライナー・チムニクの絵
なかでも
季節がうつりかわってゆく様が
なんとも
ステキです
氷のはった湖でする玉ころがし
水たまりにはった 薄氷を
ふみわる 熊おじさんと 熊
りんごの花やアフリカからのわたり鳥
月の満ちるころに小麦を刈り入れる農夫たち
ときには
だれかとなにかと戦って
自らをまもることもある
そんないなか道を
旅するおじさんと
友だちの熊の物語
熊と人間
でも
くまと にんげん
でもなく
熊とにんげん
の物語をあじわって
あなたの日々のなかにある
みすごしていたものを
どうぞみつけてみてください
熊とにんげん
ライナー・チムニク/上田真而子
徳間書店
山口 敦子
リブロ 新大阪店