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捨てる家族
タイトルや表紙を見ると悲しそうなイメージを持たれると思いますが、よくよく見ると“母と娘がやりなすための”とあります。家族ってやりなおせるんですよね。家族内で起こっている問題は虐待やネグレクトだけではありません。特に印象深かった第2章の「うさぎのお口」に焦点をあてて、紹介したいと思います。
口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)と言う名前をご存知でしょうか?先天性異常の一つなのですが、唇の形がうまく作れず生まれてきてしまう症状の1つです。こちらの症状は、ほとんどが外科手術でほぼ分からなくなるぐらい治るそうです。環境的な要因でなる場合もあれば、遺伝的な要因の場合もあります。この症状が表れてしまうのは、誰が悪いのでしょう?答えは、誰も悪くないのです。悪くないのですが、自分と違う、周りと違うと、子どもの頃は、悪意なく、からかわれてしまうこともあります。
“どうして私の口は、他の子どもと違うの?”って聞かれたら、お母さんはなんて答えたらいいのでしょうか。お母さん自身が、子どもの頃に苦しめられた症状が、生まれてきた子にも表れていたら、お母さんはどんな気持ちなのでしょう。“お母さんのせいだ!”って責めてしまうこともあるかも知れません。そこから母娘関係がぎくしゃくすることもあります。
でも、やりなおせるんですよね。金銭的にも、両親の関係性にも問題がない家族でも、見えないところで、色んな問題を抱え、ぶつかりながら、支え合っているんだなと。この本は、5つの物語として描かれていて、読みやすかったです。
捨てる家族
咲セリ
論創社
嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店