先日発売された、瀬尾まいこさんの『掬えば手には』を早速読みました。何をさせても平均の大学生、梨木くんのお話です。梨木くんの唯一の特技は、相手の思っていることがなんとなく分かることです。その力を使って、周りの人を助けようとするのですが…。
梨木くんは、同級生、バイト先の後輩、店長など、自分に関わる人を大切にできる心優しい学生さんです。少しぬけているところもあって、そんな時は、周りがさり気なくフォローしてくれます。梨木くんの日常が描かれているので、どんでん返しや大恋愛などはありませんが、スッと入り込んでくる物語なので、飽きることなく読めました。ずっとニコニコとしていられる優しい小説です。
初版では、バイト先の店長目線のショートストーリーが読めます。これがまた微笑ましいのです。ぜひぜひこの冊子も手に入れてほしいです。
掬えば手には
瀬尾まいこ
講談社
嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店