イオカステの揺籃 | NICリテールズ株式会社
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2022年08月26日

イオカステの揺籃

遠田さんの本を読むのは『ドライブインまほろば』に続き2冊目でした。前回が奈良県、今回の本は大阪市が舞台となっています。中之島のバラ園と言えば、大阪人にとっては、馴染みのある公園ではないでしょうか。テレビでも取り上げられているかと思います。何種類あって何万本のバラが咲いているのか、私も分かりません。ただただ、その量と綺麗さに圧倒されます。

そのバラ園を超える庭を作ったバラ夫人のお話です。バラ夫人と旦那さんとの関係、息子さんと奥さんとのやり取り、娘さんとの距離感…様々な視線から見えるバラ夫人は、まさにトゲと美しさを併せ持っているバラそのものです。第三者から見たバラ夫人とその家族は理想の形に見えるかも知れません。息子にとっては優しい母親であり、娘にとっては毒親であり、夫にとっては尽くしてくれた妻であり、嫁にとっては悪魔であり…何となく狂っているのは分かるのですが、何がどう狂っているのか説明ができず、気付いたら食い入るように読んでいました。

揺籃と言うより蟻地獄だなと。気付いたときには抜け出せないのです。そして、揺籠と表記するのではなく、“籃”と表記されているところにもこだわりを感じました。気持ちいいだけの籠ではなく、監視化に置かれた監獄に近いなと。

9月上旬発売予定です。予約は始まっていますのでたくさんのご予約お待ちしております。本を読む習慣のある、新婚の旦那さまにぜひ読んでほしい1冊です。

イオカステの揺籃
遠田潤子
中央公論新社

嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店

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