夏の体温 | NICリテールズ株式会社
NIC RETAILS
2022年08月27日

夏の体温

今回紹介させていただく『夏の体温』は短編集なのですが、その3作目が教科書に掲載されているとのこと。国語の授業で瀬尾さんが読めるなんて!学生時代に教科書に隠してコソコソと本を読んでいた私にとっては羨ましすぎます。学生の時は、勉強に何の意味があるの?これができて役に立つの?と、とがっていましたが、国語と数学はちゃんとやらなかったことを悔やんでいます。

瀬尾さんの小説は程よい温もりを感じます。1作目は、成長障がいの子どもたちのお話です。本人たちも治らないことを分かっています。でも悲しい顔をしたら、自分たち以上にお母さんたちが悲しむことを知っています。自分の気持ちと葛藤し、周りに気をつかい、その中で楽しみや目標、病気との付き合い方を見つけていきます。大切なことを、読み手が深刻になりすぎず、でも大事なんだよと教えてくれる物語でした。

2作目は大学生のお話です。可愛らしい物語でした。“人の良いところを見つけなさい”って教わることはありますが、“人の悪いところを観察しなさい”は、まず言われません。1作目と違い、ポロポロと泣くこともなく微笑ましく読める作品です。

3作目は友だちを作るきっかけを教えてくれる作品です。教科書用なのでほんと短いのですが、子どもの複雑な思いが伝わってきます。この作品を読んで子どもたちはどう受け止めるのか、少し話を聞いてみたくなりました。

夏の体温
瀬尾まいこ
双葉社

嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店

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