不思議な本と出会いました。読んでいるうちにリズムに乗っているのです。登場人物たちが自身の詩を朗読するときと同じように、何故か読み手まで読んでしまうのです。
最初はボソボソと書かれていたら、同じようにボソボソと。
音に合わせてと書かれていたら、何かしらのリズムに乗って。
叫ぶようにと書かれていたら、心の中で叫ぶように、届くようにと。
そんなふうに読んでください、なんて書かれていないのに、気づいたら主人公たちと同じように読んでいました。
そして詩の部分を読み終えた後の達成感。これがまた登場人物たちと同調するのか、心地よいのです。そこには色んな思いが詰まっていて、決して楽しいことばかりではありません。でも読み終わった後に爽快感があります。登場人物たちと一緒に一歩前に踏み出せた気分が味わえる本です。
生者のポエトリー
岩井圭也
集英社
嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店