まるで、そこにだけ日がさしているような日向っぽい表紙が印象的な『光のとこにいてね』。“光のところ”ではなく、“光のとこ”がすごくいいなと思いました。これは読み進めればすぐに分かりますが、主人公たちの会話口調のままタイトルになっているのです。
出会いは、小学生時代に遡ります。高校で再会し諸事情で離れ離れになるのですが、大人になってまた再会します。いついつにまた会おう!と再会するのではなく、まさに、会えるなんて!という奇跡の物語です。生まれも育ちも境遇も違う2人なのですが、どこにそれだけお互いが惹かれ合ったのでしょうか。子どもの頃はお互いの違いに、学生の頃はコンプレックスにかも知れません。では大人になってからは?
私はこの主人公たちが少し自分勝手だなと感じました。どの本もですが、読み手によって受け取り方は異なります。普段はあまり思わないのですが、この本は読み終わった方と少し意見交換をしてみたいなと思う本でした。それぐらい印象的な本です。
光のとこにいてね
一穂ミチ
文藝春秋
嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店