タイトルが食べもの系の小説はほっこりしているものや、ハッピーエンドが多いイメージがあります。『宙ごはん』がイヤミスなわけでも、モヤモヤするわけでもありません。最後はスッと背筋が伸びる感じがしました。
完璧な母親なんていません。子どもは大人に振り回されて、諦めるしかないことを知ります。不倫や浮気は誰でも可能性を秘めています。食事を通じて人と人が向き合い、どうすれば良いのだろう?と答えを見つけていくお話でした。
その答えが悲しいものもあります。やるせないものもあります。でもそんな厳しさの中に、温もりを感じさせてくれるのが町田さんの小説なんだろうなと思います。手元にハンカチを準備して読むことをおすすめします。思い出の味って本当に素晴らしいです。
宙ごはん
町田そのこ
小学館
嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店