息が詰まるようなこの場所で

今回紹介する『息が詰まるようなこの場所で』を１言で表すと、“隣の芝生は青い”です。タワーマンションに住んでいる一家とその友人たちの物語なのですが、“タワーマンションに住んでいる=勝ち組”というイメージがありませんか？そこそこの収入がなければ入居することができない、敷居の高いマンション。そんなマンションに入居するだけでもすごいと思うのですが、入居できたら次は自分より上の階の人を羨んだりするんだなと。最上階の方はそんなことがないのでしょうか？最上階の方は隣や、近くのタワーマンションの最上階が自分のマンションより高ければ羨むのです。

もちろんそんな方ばかりではありません。今の自分に満足せずにより上を目指すことは悪いことではありません。が、無理しすぎると息切れがしてきませんか？そして何を目指しているんだろう？と目標を見失ってしまいます。タワーマンションに限らず、仕事をしている時、電車に乗っている時など、あの人はなんて容量よく仕事をこなすんだろう。や、なんてスタイルが良いんだろう。と、常に人と比べていることがあるなと気付かされる物語でした。

息が詰まるようなこの場所で
外山薫
ＫＡＤＯＫＡＷＡ