夜明けのすべて

パニック障害の男性と、月経前症候群（PMS）に悩む女性の物語です。順風満帆で仕事もやりがいを感じプライベートも充実していたのに、ある日突然パニック障害になってしまい今までの生活を変えることを余儀なくされてしまった山添くん。生理前になると抑えられないぐらい急に怒り出す藤沢さん。１日ぐらいのこととはいえ、毎月訪れるその感情の起伏に、周りだけじゃなく自分自身も振り回されてしまいます。

明確な治療法もなく、いつ治るのか分からない病気を抱えた２人の、あけすけなやり取りがとても興味深いです。それを言ったら余計傷つけるのではないだろうか？症状がひどくなるんじゃないだろうか？と気にしてしまい、徐々に距離がうまれてしまうことのほうが、多いと思います。

この２人はそこまで言うんだ！？ってことまで言い合い、お互いをサポートしていきます。自分の病気はそっちのけで、相手が生きやすくするサポートをしている距離感。とても微笑ましいです。

夜明けのすべて
瀬尾まいこ
文藝春秋