この本をはじめて手にしたのは
古い洋裁学校のお庭の原っぱにあるカフェの
本棚に置いてあったのが
ふと目についたからでした
それまで
仕事というのは
学生が終わって
次にいくとき
避けて通れないもの
みたいなイメージでしたが
この本に書いてあることは
そういうのとは
ずいぶんちがいました
何人かのインタビューで
綴られているなかで
わたしが
いちばん身近に感じたのは
パン屋さんのお話でした
この仕事はそれまでに経験した仕事に比べて、矛盾がなかったんです。
と言われるルヴァンの甲田さん
あらためて
いま読むと
現代に自分の仕事にそう言える人は
どれくらいいるだろうな
とおもいました
この本を久しぶりに読んでから
かのパン屋さんに行く機会がありました
そしてそこのちいさなパイを買って
(旅先だったので買ったパンは友だちにわたしました)
食べてみて びっくりしました
たしかにパイなんだけれど
わたしのおもうパイとは全然ちがって
なんだかごはんのような
元気のもとみたいな味わいでした
あの本に書かれてあったお話は
こういうことだったんだなあ
ってしみじみしました
いつか
クリエイティブとは
工夫することである
と本で読んだことがあります
この本のなかの
自分の仕事をつくる達人たちから
ほんのすこし
わたしもなにか
工夫をまなべるかもしれません
仕事をするという日々のことを
あたらしい気持ちでながめられる
そんな一冊です
自分の仕事をつくる
西村佳哲
筑摩書房
本体760円
山口 敦子
リブロ 新大阪店