この本に出逢ったのは
10代のはじめでした
そのころのわたしは
友だちもいなくて
休みの日はなにしていいかわからなくて
いつも つまらないなあ
とか
さみしいなあ
わたしにはなんにもないな…
みたいにおもっていました
そういう気持ちになったときは
図書館にいきました
そうすると
まだわたしの知らないたのしいこと
スキなことが
世界にはたくさんあるかもしれないな
と気持ちがすこしあかるくなりました
そんなときに
この本を読んだ気がします
そうして
言葉を集めるっていいな
それなら わたしにもできる
とおもって
とっておいた雑誌の付録の
かわいらしいノートに
なにか書いてみることにしました
缶ビールの空き缶と破れた恋は
お近くのくずかごへ
テレビのCMで流れていた
その言葉を最初に書いた記憶があります
(ずいぶんあとになって知ったのですが
それは名の知れたコピーライターの方の作品だったのだそうです)
あたらめて
この本を読んでみると
寺山修司作だとおもっていた
さよならだけが人生だ
というのは
井伏鱒二作の詩だったんだなあ
っておもったり
(これは2冊目のノートに書きました)
フェリーニとか
トリフォーのことが
綴られていて
なかに並んでいる数々の言葉も
ちょっと
すみません
わたしそんなちゃんと本を読んだり
映画をみたりする人間じゃないんで…
って にげたいような気持ちになります
けれどやっぱり
あのころ
この本に出逢えてよかったなあ
とおもいます
あなたは
「言葉を友人に持ちたい」
とおもいますか
あなたのこころに響く言葉を
みつけてみたいな
とおもったら
この本を手にとってみてください
それは
本のなかにみつかるかもしれないし
あるいは
あなたのすぐそばで
あなたにみつけてもらうのを
待っているかもしれません
ポケットに名言を
寺山修司
角川文庫
山口 敦子
リブロ 新大阪店