伊坂幸太郎さんの小説はミステリーだけど、ほんわかしているところが好きです。個性豊かな登場人物たちと、何かしらポジティブな助言が含まれているので、読み終わったあとの爽快感がたまりません。
そんな個性豊かな登場人物が多い伊坂さんの小説で、1番のお気に入りは『ガソリン生活』です。主人公や犯人ではなく、物語を語ってくれるのは車なのです。その発想がすごいですよね!踏切につかまってしまった時に、人間はイライラすることが多いのではないでしょうか?でも車の場合は違うのですね。何なら自分の前で踏切が降りてきたときに、ラッキーと思うのです。渋滞も車にとっては、周りの車との交友関係を深めたり、情報交換の場なのです。
犯人を乗せていたり死体を運んだりと、車は誰よりも先に事件の真相を知っています。そんな車から見たら、解決に向けて奔走する人間はどう見えているのでしょうか?この小説を読むとご自身の車により愛着がわき、少々の渋滞でもイライラしなくなるかも知れません。ぜひ、手にとってみてくださいませ。
ガソリン生活
伊坂幸太郎
朝日新聞出版
嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店