またまた、おもしろそうなシリーズが始まりそうです。
遠隔操作の殺人は以前からありました。それが、この作品はZOOMのミーティング中に行われるのです。容疑者はしぼられているのですが、なかなか捕まえることができません。トリックは突拍子がないものではなく、現実的でちゃんと解説をしてくれます。この手順ができるのはこの人しかいないだろう。と、予想はつくのですが、なかなか近づけないもどかしさを味わうことができます。
そしてここに社会問題が加わってきます。私たちが当たり前のように有している権限や、保証を受けるための証明書の戸籍。普段は意識しないものですよね。生まれた時に出生届が出されれば、戸籍は手に入ります。でも、この戸籍がないは人は、誰が存在をどうやって証明してくれるのでしょうか?
今どきらしい遠隔操作殺人と、昔からずっと問題視されていることが調和されている作品です。警察だけじゃ証明しにくいので、科学者も登場しますが、私がいいなと思ったのは、この科学者の登場頻度です。多すぎない!ちゃんと警察が捜査をして、仮説を立ててから科学者のもとへ行くのです。ポイント、ポイントで登場はしても、でしゃばりすぎず、越権行為も行わないこの科学者のポジション。このリアルさがとても面白かったです。
嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店