小説を読み始めた頃、まだ好きなジャンルや作家さんがいなかったので、メフィスト賞受賞作品とこのミステリーがすごいのトップ10を読み漁っていました。今回は初心に戻りメフィスト賞受賞作品『スイッチ 悪意の実験』を読んでみました。
押したらだめと言われたら押したくなるのは、大人も子どもも同じです。ここに登場するスイッチを押すと、とあるパン屋さんが破産してしまうという、人生を左右するスイッチです。悪意の実験なので主催者には誰が押したか分かりますが、他の参加者さんにはバレません。守秘義務があるので主催者さんも誰が押したかは教えません。あなたなら押しますか?
小説の中では序盤で押されてしまうのです。参加者さんの心理戦だけでも面白そうななのに、そこから本当の心理戦が始まるのです。誰が押したのか、目的は何なのか。真の悪意とは何なのか、そもそもそんなものがあるのか。興味深い要素がいっぱい詰まったミステリーでした。
スイッチ 悪意の実験
潮谷験
講談社
嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店