サファイア

新装版のきれいな表紙とは裏腹に湊さん節炸裂の短編集でした。

第１話目は“真珠”です。たぬきのようなおばさんが主人公です。そこはもう豚で良いんじゃないのかなって思いつつつ読んでいたら、“あぁ、これはたぬきだな。”とニヤニヤとしてしまいました。

“ムーンストーン”はその設定がどっちに傾くのかなと、ストーリー以外でも楽しまさせてもらいました。イヤミスに向かってもニヤけるだろうし、スッキリに向かっても口元がほころぶだろうし、そんなワクワク感を感じながら読ませていただきました。

タイトルにもなっている“サファイア”は、泣きそうになりながら読みました。その続編が“ガーネット”なのですが、この２編をもっと詳細に書いた単行本を出してほしい！と思うぐらいおもしろかったです。イヤミスとスッキリするものが半分ずつ入っているので、湊かなえさんの本をまだ読んだことがない方は、この本から読みはじめたらどちらのエッセンスも楽しめるかなと思います。

サファイア　新装版
湊かなえ
角川春樹事務所