湊かなえさんの作品を何冊を読みましたが、私の中で一番の問題作だなと思いました。
テレビでも美容整形外科のCMをよく見かけます。番組にお医者さんが出ていることもありますね。美容整形は自分に自信を持つ手段のひとつと考えられています。芸能人の方でも美容整形したことを隠さない方も増えました。海外まで整形をしに行くぐらい身近なものになってきたなと思います。
『カケラ』も美容整形にまつわるお話です。そして取り上げている手術内容は“脂肪吸引”なのです。顔が変わって自信に繋がる方もいます。見た目で言うと体型が変わっても自信に繋がる方がいてもおかしくありません。が、“脂肪吸引をして、こんなにきれいになりました!”は、広告や芸能人の方からも聞かないのです…。
顔にメスをいれることと、脂肪を引き抜くこと。同じ整形なのにこの違いは何なのでしょうか。と、ふとそんなことを真剣に考えてしまうような小説でした。私はこう思いました!と、感想をここまで書きにくい小説はなかなかないと思います。
カケラ
湊かなえ
集英社
嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店