絞首商會 | NICリテールズ株式会社
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2023年02月10日

絞首商會

本屋大賞にノミネートされている『方舟』の作者、夕木春央さんのデビュー作が文庫本化されたので早速読んでみました。分厚いです。上下巻にわかてもいいぐらい分厚いです。

設定は戦後の日本です。まだ着物を着ている方が多く、書生がいるような大正時代の物語です。血液学研究の博士が庭で殺害されました。警察より先に犯人を見つけたい同居人と友人たちが、探偵役に選んだのが3年前に博士の家に泥棒に入った犯人だったのです。設定もおもしろいですが、この時代のこの登場人物たちの雰囲気だったので、そんな選定もあながちおかしくもないな。と納得させられました。

犯人探しの中でハラハラするシーンや、どんでん返しを期待したくなるようなワクワク感は特に感じませんでしたが、飽きることも疲れることもなく読めるのです。犯人探しの描写は分かりやすいですし、一緒に誰だろう?と考えることもできます。

解決のシーンになってからは淡々と話す探偵がかっこよくも感じました。内容に不満もなければ、読み終わってからも達成感があります。冒頭でも書きましたが本当に分厚いのですね。にも関わらず、ひと文字足りとも見落とさないように読みたくなる魅力を秘めています。それこそ句読点1つ見落とさないように慎重に読みたくなるのです。そこが一番ミステリーだなと感じました。

絞首商會
夕木春央
講談社

嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店

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