クローズドサスペンスヘブン

設定は死後の世界。殺人事件に巻き込まれた６人の人物。生前の記憶や名前は覚えていなくて、ただ自分たちは殺されたことだけ何となく分かっているような状態で集められました。死後の世界という設定にリアリティはありませんが、何でもありの世界ではなくちゃんとしたルールがあります。その設定がしっかりしているので、違和感なく読み進めることができました。

犯人が分かれば成仏できると考え、色んな可能性を検討していきます。その推理も突拍子もないように見えてしっかりと組み立てられています。また、夢が叶う天国の要素と、誰に殺されて自分たちはここに迷い込んだのかの疑心暗鬼の要素がちょうど良く混ざりあっているので、犯人が名指しされるたびに一緒にソワソワして楽しむことができました。

SFや時代劇など、小説には色んなジャンルがありますが、これを機に殺された人たちが犯人探しをする死後の世界というジャンルが増えてもおもしろいかも知れませんね。

クローズドサスペンスヘブン
五条紀夫
新潮社