ミステリーの要素とほっこりとする要素を絶妙なバランスで物語に織り込める作家さんと言えば、近藤史恵さんではないでしょうか。
会社を辞めて家事手伝いをしている主人公。収入は姉の犬のお世話と日ごろの家事です。そこに祖母からの新しいアルバイトが加わります。舞台を代わりに見に行くこと。と言う不思議なアルバイトです。
アルバイト自体も不思議な内容ですが、行く先々で出会う紳士。何故こんなにもばったり出会うのでしょうか。そして何気ないことなのですが、少し奇妙に思えてしまうできごと。私が同じ立場なら多分気にしないようなことでも、この主人公だからこそ気にとめることができたんだろうなと。ミステリアスな要素が3、ほっこりとする要素が7の程よい物語でした。
歌舞伎座の怪紳士
近藤史恵
徳間書店
嘉納 芙佐子
リブロ 江坂店